寺島実郎の発言

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連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2008年3月号

日本の貿易構造の急変−2007年の貿易統計

2007年の通関統計が発表になり、あらためて日本を取り巻く物流構造の変化に驚かされた。輸出と輸入を足し合わせた貿易総額に占める貿易相手先の比重において、米国との貿易比重は、前年の17.5%から16.1%にまで低下した。中国との貿易比重は17.7%で、戦後の日本の歴史において暦年で初めて対中貿易が対米貿易を上回ったということである。

戦後半世紀以上、通商国家日本にとって、貿易とは主として米国と貿易することであり、通商摩擦とは日米貿易摩擦と同義語であった。いまや日本の貿易総額に占めるアジアとの貿易比重は45.8%となり、日本は中国を中核とするアジアとの貿易で飯を食う産業国家になったということである。

また、昨年の日本の貿易動向において特に急変したのはロシアとの貿易であった。ロシアへの輸出は1.27兆円となり、前年比実に54.1%増、ロシアからの輸入は1.24兆円、前年比60.1%増となった。背景には過去3年間実質平均7%で成長したロシア経済がある。987万BDの原油生産に天然ガスの生産量(石油換算)を加え2,086万BDという化石燃料(除石炭)の生産力を持ったロシアは、エネルギー価格高騰の追い風を受け世界のセンターラインによみがえってきた。2007年末のロシアの外貨準備は4,644億ドル、中国・日本に次いで世界3位になった。

ロシア経済のエネルギーをテコにした再生により、極東ロシア経済も活力を高めつつある。ブラックボックスだった極東ロシア経済の活力が高まることで、「環日本海構想」の「環」がつながりシナジーを持ち始めた。日本産業がアジア、およびユーラシアとのダイナミズムとの連携で生きていかざるを得ない構造になっていることを深く認識しなければならない。