寺島実郎の発言

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連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2007年10月号

2007年秋、注目すべき数字

原油入着価格、すなわち日本の港にたどり着いている原油の価格は8月にバーレル73.62ドル(円建て8,593円)となった。昨年12月の水準は58.23ドル(同6,830円)だったから、今年に入って円建てで25.8%も高騰したことになる。先物原油価格も80ドル水準を超え、今後も高水準を動く可能性が高い。米国のサブプライムローン焦げ付きに端を発した株式同時下落を受けて急増した世界の過剰流動性が石油市場に向かっており、極めて不安定な局面。


日本企業物価指数、すなわち日本企業が取り扱っているモノの価格体系が極端な二極分化を起こしている構造がより鮮明になった。2000年を100として、8月の素原材料の価格水準は192.8と今世紀に入って9割以上もの高騰(川上インフレ)となっており、中間財(部品など)は115.0、最終財(消費者と向き合った財)は95.9と依然として水面下のデフレを続けている構図が継続しているのだ。原材料資材価格の高騰を川下の最終製品価格に転嫁できないまま、ゆがんだ価格体系が続いているということである。


この川下と川上の価格体系の二極分化が、日銀の金利政策を硬直化させ、昨年のゼロ金利解除後、本年2月に0.25%積み上げた公定歩合は0.5の水準に張り付いたままである。日本は12年以上も1%以下の公定歩合という状態を続け、この超低金利が円資金の海外流出を誘発し、世界金融の流動化要素になっていることも否定できない。