寺島実郎の発言

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連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2007年7・8月号

アジア大移動時代の到来

2006年の「日本人出国者」に歴史的なことが起こった。1,754万人の出国者のうち、中国へ出国した人は377万人、米国に出国した人は367万人と、初めて中国への出国者が米国への出国者を上回ったの である。

1995年の米国への出国者は475万人であったから、この11年間で米国を訪問した日本人は100万人以上も減少したことになる。9.11以後、指紋認証など出入国手続きが煩瑣になり、米国訪問が敬遠されているなどの事情もあるが、驚くべき減少である。また、日本人の米国訪問者のうち6割以上はハワイ、グアムへの訪問であり、米本土に到着した人は極めて限定的だと言える。一方、1995年の中国訪問者はわずか87万人であり、11年間で300万人近く増えたことになる。

「訪日外国人」の構成にも大きな変化が見られる。2006年の訪日外国人733万人のうち、米国からの訪問者81.7万人、中国からの訪問者81.2万人とわずかに米国からの訪問者が上回ったが、ほぼ肩を並べたことになる。中国からの訪問者のうち「観光客」は30万人だったが、ビザ規制が緩和されれば飛躍的増大が予想される。

8月には関西空港の第二滑走路がオープンし、24時間空港が稼動した。また、上海と羽田を結ぶチャーター便が運航を開始するなど移動を支えるインフラも順次整い、確実に「アジア大移動時代」が迫りつつある。21世紀を考えるとき、移動は間違いなくキーワードになるであろう。特に、少子高齢化によって人口構造の成熟化が予想され、定住人口の増大が期待できない日本にとって、移動人口の質と量を高めることによって活性化を図ることは重大である。