連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2007年3月号
世界同時不況の到来か巡航速度へのソフトランディングか
21世紀に入って6年間の世界経済は、実質年率3%で拡大を続けてきた。高成長の同時化という流れが続き、「BRICsの台頭」など成長の牽引車も拡充し、過熱ともいえるほどの成長軌道を進んできた。「マイナス成長ゾーンがない」といわれるほどの同時好況の持続であった。
この間、世界貿易は年平均7%前後の拡大を続けた。自動車関連製品、IT関係の機器材の貿易の拡大などが主要因であった。注目すべきは、この間の世界の株価の高騰であり、米・欧・アジアの株式市場の時価総額は年平均14%で上昇した。
この数字は、興味深い。実体経済が年率3%、貿易(国際間のモノの動き)が年率7%で拡大したのに対し、株価は年率14%で高騰したことになる。特に、中国の上海の株式市場などこの間に3倍になった。実体経済に比べての「金融経済の肥大化」という事態を冷静に注視する必要がある。
2月末から上海を震源地として始まった「世界同時株安」について、世界同時不況へ反転する前兆との見方もあるが、実体経済は安定軌道の中にある。1997年の「アジア金融危機」の時と比べ、アジアの域内貿易比重の高まり(42%→56%)など成長の裾野も拡大している。実体経済面で悲観する材料は少ない。環境問題やエネルギー問題に配慮した「持続可能な成長」に向けて、世界経済の巡航速度での発展を促す姿勢が大切である。
ただ、上海市場の未熟性や投機的傾向を含め、実体経済を凌駕する「マネーゲーム」の拡大には慎重でなければならない。過剰に金融経済に揺さぶられる構造は問題である。冷静な視点が求められる。

