寺島実郎の発言

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連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2005年4月号

「安全性」技術で競争力優位を

9.11が世界を変えたとすれば、「安全性」という言葉があらゆる研究開発、事業モデルのキーワードになったことであろう。最近、米国を回って痛感したのは、あらゆるところでセキュリティー・チェックが厳しくなったことで、空港でのチェックインやビルの出入りまで厳しい検査と本人認証の手続きを通過しなければならない。「移動の自由」がアメリカの魅力だったのだが、息苦しさを覚悟しなければならなくなった。

しかし、「必要は発明の母」で、安全性を高めるための研究開発や事業投資が活発になっており、注目に値する。例えば、センサー技術であり、金属探知機のようなものだけでなく、爆薬や炭素菌などを探知するバイオ・センサーなどの技術、侵入を防ぐ強靭な新素材技術、本人認証を指紋や瞳などで正確に行う技術、さらにはBSE問題などを背景に食品安全をチェックする技術など、日進月歩の勢いで新しい動きが見られる。

米国では昨年12月にCOC(競争力協議会)の新報告“INNOVATE AMERICA”(パルミサーノ報告)が出され話題になっている。技術革新を目指す重点分野としては環境、新エネルギー、情報通信などの定番の分野が抽出されているにすぎないとみえるが、「セキュリティー」「医療・健康」などの分野も強調されていることに加え、「安全性」を高めるためにそれらの技術シーズを集約していこうとする問題意識が読み取れる。

人間生活にとって、何よりも安全であることは基本要素であり、21世紀のビジネスモデル開発にとっても、この問題意識を強く共有する必要がある。安全性を高める内外の技術に注目し、個々の技術の芽を集約して総合化し、一つのシステムとしてプロジェクト化する役割が求められ、総合商社の機能発揮の舞台である。