寺島実郎の発言

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連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2004年10月号

日本の資本主義の性格の変化

2004年3月期の日本の上場企業株式保有比率に劇的なことが起こった。外国人保有比率が21.8%でトップになったのである。その他の国内投資部門別保有比率は、事業法人が21.8%、個人が20.5%、信託銀行が19.6%、保険会社が8.1%、その他金融機関が6.8%となっており、日本企業の株式は外国人投資家によって保有されている比重が一段と重くなったということである(数字は全国証券取引所調査による)。株価の動きも「外人買い」に左右される状況になっているのである。ちなみに、三井物産株の同期末の外国人保有比率は24.4%であり、実に4分の1は外国人によって保有されているということである。

日本の個人投資家が株式市場に回帰していないことは大いに問題にされねばならないが、外国人保有の増大は、日本の資本主義の性格の変化、経営のあり方の変化という意味でも注目されねばならない。一言で言えば、一段と企業経営に透明性の高い説明責任が求められるということである。年金基金をはじめとする外国人機関投資家は企業経営を厳しく専門的に吟味する傾向があり、「沈黙の投資家」ではない。まさにIR(投資家との適切な関係構築)が企業戦略としても重要になるわけで、我々自身が発想を変えねばならないのである。「グローバル化」が絵空事ではなく、実体のあるものに高められねばならない。

同時に、日本の企業経営の中で「変えざるもの」も明らかにし、その価値を積極的に主張しなければならない。従業員でも投資家でも取引先でも、効率的に回転させればよいというものではなく、長期的関係を維持熟成すべきという面もある。長い間、会社を支えてくれる存在を大切にすることも経営として正当なことである。我々が持つべきバランスのとれた経営観が試される時である。