連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2004年7–8月号
インフレとデフレの交錯状況を見抜く
現下の日本経済の状況を的確に認識することが困難なのは、奇妙な「インフレとデフレの交錯」とでも言うべき事態が進行しているためである。
国内企業物価指数における国内需要段階別物価動向を注目する必要がある。2000年を100.0として、2004年6月時点(速報値)で最終財は92.0と依然として水面下のデフレ状態になっているのに比べ、素原材料は120.8と一次産品価格の高騰を背景にインフレ状態なのである。中間財は99.0にまで上がってきており、間もなく水面上に出てくると思われる。
国際商品市況は「20年ぶりの高騰」と言われており、1990年を100.0としてのDJ・AIG先物指数は2004年6月末時点で144.0と5割近くも高騰している。理由は世界経済全体の高成長の同時化(世界GDPの対前年比実質伸び率は、2002年1.9%、2003年2.6%、2004年実績見込み4.0%)、特に中国などアジア経済の堅調によって需要増が続いているとされるが、多分に投機的要素も内包されている。
賃金指数や給与所得の低迷を背景に消費が必ずしも回復していない状況において、最終消費財はデフレ圧力がかかり、原材料高騰を製品価格に転嫁できない状態が続いている。
インフレとデフレの同時進行という事態を背景に、企業の経営力格差が問われている。自らの業態をグローバルに点検し、最適なビジネスモデルの再設計が求められるわけであり、正に戦略企画の正念場なのである。

