連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2003年11月号
アジア物流の変化
昨年は日本の貿易構造にとって画期的な年となった。日本の輸入にとって、中国からの輸入(18.3%)が米国からの輸入(17.1%)を上回ったのである。アジアからの輸入は43.5%を占め、1990年の28.7%に比べ15%も比重を高めたことになる。
輸出については、米国への輸出が28.5%を占め、中国向けの9.6%に比べ圧倒的に上回っているが、中国に台湾、香港、シンガポールを加えた「大中華圏」向けの輸出は25.4%とほぼ米国向けと肩を並べ、数年以内に対米輸出を凌駕すると予想される。アジアへの輸出は、1990年の31.1%から43.1%にまで高まっており、輸出立国日本が次第にアジア市場に依存する国になりつつあることを象徴している。
つまり、日本の輸出も輸入も4割以上をアジアに依存する時代がきたということである。これからの5年間を展望するならば、アジアとの輸出入が5割以上を占める時代がくることは間違いない。
米国にとっても、昨年は中国からの輸入が日本からの輸入を上回った画期的な年となった。アジア太平洋の物流は大きく変化しているのである。我々は眼を凝らし物流変化の背景にある産業の変化を見抜かねばならない。
興味深い動きを耳にした。我々は中国から米国に向かう物流が増えているというと、鹿児島の南の太平洋を米国に向かう船が続々と波を越えているイメージが浮かぶが、実は最近の動きとしては、日本海に入り、津軽海峡を通過して米国に向かっている船が急増しているのだという。このほうが2日早いのである。我々が気付かないうちに、経済の足元は確実に変化している。

