連載「INSIGHT」THE WORLD COMPASS 2003年9月号
セキュリティーというキーワード
この夏、米国、欧州、アジアと動き回って実感したことだが、「セキュリティー」、つまり「安全性」ということがあらゆるビジネスモデルにとって重要なキーワードとなりつつある。9.11の悲惨なテロから2年、さらには今春のSARS騒動、そして直近のコンピューター・ウイルスによるサイバー・アタックなどを経て、様々な意味での「安全性確保」が重要とする認識が高まりつつある。
グローバリズムといってみても、人・モノ・カネ・技術・情報の「自由な移動」が前提であり、「自由な移動」に障害が起きないような配慮が大切になっているのである。例えば、移動の基点になるような空港とか港湾の安全性を高めるための研究開発が盛んになってきており、金属探知機でのセキュリティー・コントロールだけでなく、プラスチック爆弾や生物化学兵器を探査するセンサー技術による安全管理が必要になっている。また、強靭で軽量な新素材やインテリジェント素材、新材料も必要とされる。当然のことながら、安全で安定した情報システムも必要となる。
必要は発明の母で、研究開発を促す新しい潮流の背景にこの「セキュリティー」という言葉が置かれはじめており、政府の研究開発予算配分においても、メーカー企業のR&Dにおいても、「セキュリティー」がプロジェクトのモチベーションとなっている。「ニーズの産業的解決者」を自認する当社としても、この切り口から新事業・新商材開発に立ち向かい、総合的にプロジェクト化することの必要を痛感する。
社会のニーズが、スピードとか効率性だけでなく、安心と安全を求める方向に向かうことを的確にとらえる必要がある。それに伴い、集中だけでなく分散し、しかも効果的に制御することのできるシステム、危機に柔軟に対応するソフトも重要になる。

