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レポート

食品トレーサビリティ認知状況—主婦層の7割が「初めて聞く言葉」—

高野守 ライフサイエンス事業戦略室 シニアプロジェクトマネージャー
Chain Store Age 2007年12月15日/2008年1月1日号より転載

主婦層の70%以上が「食品トレーサビリティ」という言葉を初めて聞いたという今回の調査結果は、ある種の意外性とともに報道各社によって伝えられた。近年の食の安全性に対する消費者意識の急速な高まりと、購買パワーシフト対応の観点から、生鮮品の流通履歴を訴求できるトレーサビリティシステムは消費者起点で構築されてきたというイメージが強かったために、その割には認知度が低いというとらえられ方をされたようである。

牛肉BSE問題に端を発した牛トレサ法(牛の個体識別のための情報の管理および伝達に関する特別措置法)が法制化に至ったのは今から3〜4年前のこと。生鮮品に関してはトレーサビリティという言葉自体、共通認識としてそれほど長い歴史を持つものではなく、現在、牛肉以外の他の農林水産物では仕組みづくりの段階と言えるだろう。今の世の中、情報をつなげることは簡単にできると思われがちだが、これまでの商品の流れがある中で情報管理の面だけを優先させようとすると、当然、現場に即さない無理が生じることとなり、機能している既存システムの否定に直結しかねない。実際には各流通段階におけるメリットがこれまでの仕組みを上回るようなプロセスのつくり込みを、ある程度の時間をかけて確認しながら進めていくことが重要である。

生産から小売までの各段階を通してモノと情報が対応しながら確実につながることが「トレーサビリティ」の本質だが、食品におけるそのインフラ活用の仕方は、安全性の確認からリスクコントロールまで生産者から消費者に至るそれぞれの関係者によって異なる。

したがって、上述のように情報プラットフォーム完成を優先させるあまり、一元的な視点からこれまでの流通システムの弊害性を唱えても前には進まない。たとえば農業協同組合(農協)の共同選果(共選)場からの出荷は作物によっては地域農産物をいったん混ぜる場合がある。これが、近ごろ流行の農業適正管理工程(GAP)等で規定されることが多い圃場単位までの情報追跡を困難にしているという指摘がなされることがあるが、共選の仕組み自体がトレース機能を分断している訳ではない。集出荷の情報伝達ルールが各農協でそれぞれ状況に応じて異なることで、大口の取引先から見れば一元管理された情報として得にくい点が問題とされているだけのことである。実際、各農協単位では、共同出荷のメリットを保ちつつもさまざまな工夫を行っており、栽培履歴まで訴求できるシステムを配備している例も見られる。

現在、流通業界中心に進められているEDI標準化への取り組みにも見られるように、今後、いわゆる受け手である川中、川下側では食品トレーサビリティにつながる情報一元管理が加速する。機能としてうまく拡大し、生産者と消費者を本当に知りたい情報でつなげる役割を果たせれば、今はビジネス用語にとどまっているかもしれない「食品トレーサビリティ」システムが名実ともに消費者と共に機能し始めると考えている。

食品トレーサビリティ認知状況

〔関連トピックス〕

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