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レポート

2006年の世界政治・経済

国際情報部
2005年12月27日掲載

III. 各地域政治・経済の現状と課題
4.中国
持続する高成長、2005年もGDP成長率9%超

中国は2004年、経済の過熱が懸念されたが、一連の抑制政策が緩やかに効果を表し、鉄鋼、不動産などの問題業種の過剰な投資は抑えられている。しかし、採鉱業など供給不足が目立つ一部分野に牽引されて固定資本投資は引き続き高水準にある。加えて貿易黒字は05年10月時点で前年の2倍超の804億ドルに達するなど、中国経済の高成長は持続しており、05年通年GDP成長率は9%を超えることが確実である(下図)。

中国、香港、台湾の経済成長実績と2005/06年予測
経済の拡大、国際化とともに経済摩擦も増加

05年、中国製繊維製品輸入割当撤廃により、米中、EU中の貿易摩擦が深刻化した。中国とEUは交渉を重ね、6月セーフガード発動を回避するとともに06年以降の中国の繊維製品輸出の数量制限を取り決めた。米国は5月セーフガードを発動し強く人民元切り上げを求めてきたが、11月中国が輸出数量制限を行うことで合意している。

重化学工業化や、生活の質向上、モータリゼーションなどにより、中国ではエネルギー・資源の安定確保が重要課題となっている。そのため積極的な対外進出が行われ、他国と競合するケースも増えている。

FTA締結交渉を進めるなど、中国は各国・地域と良好な関係を構築しようとしている。しかし、中国経済が存在感を増すなか、2006年も経済摩擦の増加は避けられないであろう。

人民元切り上げ幅、2006年は5%前後

人民元為替レートは1994年以来実質的に固定相場制となっていたが、7月21日、中央銀行は通貨バスケット制を参考にした管理変動相場制を導入し、人民元対ドルレートを2.1%、1ドル=8.11人民元に切り上げ、一日の変動幅の上下限は0.3%以内に変更すると発表した。しかし、その後も外国為替市場での元高進行は緩慢で、12月1日時点で1ドル=8.0798人民元にとどまっている(下図)。今回切り上げ幅は小さかったが、為替決定制度柔軟化の第一歩と評価されている。中国は今後とも「自主的、制御可能的、漸進的」原則に則って、国内経済への影響を注意深く見ながら人民元改革を進めていくであろう。元切り上げ幅は06年も5%前後にとどまるものとみられる。

人民元為替改革後のレート推移
2006年GDP成長率は8.8%前後

第10次5カ年計画期間(2001–05年)、中国は高成長を続けたが、同時に粗放型経済成長の限界や都市と農村や地域間の格差も顕在化した。第11次5カ年計画(2006–10年)では、継続して改革開放を推進するとともに「和諧(調和の取れた)社会」形成を重要目標の一つとしている(下表)。成長の規模重視から質向上への転換は成長速度を減速させようが、政府目標である2020年に「全面的小康(ややゆとりある)社会」を形成するには不可欠の調整期である。このため、06年のGDP成長率はやや減速して8.8%前後になる見通しである。

第11次5ヵ年計画案の骨子

香港は、中国の香港向け個人旅行の解禁やCEPAなどを通じて中国経済と密接な関係を構築し、経済は好調に推移している。しかし、今後中国経済が調整に向かい経済成長が減速すればその影響は免れないであろう。

05年の台湾の対中政治関係は、中国「反国家分裂法」成立、台湾野党2党首の訪中などがあったが基本的には平行線のままである。しかし、12月の県市長選挙では、04年12月の立法院選挙に続いて野党勢力の伸張が見られるなど、08年総統選挙に向けて台湾政治の基調に変化が表れている。中台の政治関係とは別に、台湾は近年中国との経済関係を急速に深化させてきたが、05年は対中投資、輸出ともに一服感が見られた。中国経済が減速すれば影響は受けようが、好調な電機・電子製品輸出や関連の設備投資拡大によって、06年も台湾は安定的な経済成長が見込まれる。

拡大する中韓経済関係

韓国は、BRICs経済外交、FTAなど対外経済政策を強め、特に中国、インドとの関係を重視している。韓国の対中貿易は、2004年792億ドルと1992年国交樹立時に比べ12倍に拡大した。韓国にとって中国は輸出相手国1位、輸入相手国2位。対中輸出品目順位は、1位電子・電気製品、2位化学品、3位機械類で、2005年1,000億ドルを見込む(05年1–10月対中輸出25%増の510億ドル、対中輸入33%増の316億ドル)。韓国の対中直接投資額は、2005年11月時点累積残高126億ドル(香港含む)。韓国にとって中国が最大の投資相手国で対外直接投資額446億ドルのうち中国が28%を占める。業種は、製造業が9割を占め、1位電子通信装備、2位繊維、3位石油化学と輸送機器、投資額が多い地域は、山東省(繊維・化学品)、江蘇省(電子電気)、北京(自動車)、天津(電子電気)である。対中進出企業数約2万5,000社のうち山東省に1万2,000社(うち青島6,000社)が進出している。対中進出目的は、「労働集約型・輸出志向型」から「技術集約型・中国市場開拓型」へ転換傾向にある。中国では日本と韓国の企業が提携する動きが見られ始めており、青島は繊維や石油化学分野、北京・天津は自動車部品などで相互に提携を模索している。

一方、中国の対韓投資(2004年12億ドル)も急拡大し、中国企業による韓国企業買収が目立つ。中国は、第11次5カ年計画により環渤海経済圏構想・東北3省開発を本格化し、中韓・中朝経済関係を強化、また豆満江開発計画(中国東北3省、ロシア極東、モンゴル東部、韓国東海岸)との相乗効果を狙っている。

韓国の対中投資