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レポート

2006年の世界政治・経済

国際情報部
2005年12月27日掲載

III. 各地域政治・経済の現状と課題
2.日本
踊り場から脱却した2005年

2005年の日本経済の課題は、04年の夏頃から入り込んだ踊り場からの脱却であった。踊り場の大きな要因として、04年の夏頃から始まったIT関連製品の在庫調整が挙げられるが、その在庫調整については05年の夏頃から進展が見られるようになり(下図)、景気は踊り場を脱却したものと考えられる。

在庫循環図(情報化関連生産財)

脱却後の回復は緩やかなものであるが、企業業績は堅調に推移しており、日本経済新聞の集計(12月1日時点)によると上場1,594社(除く金融)の05年度の業績見通しは、前年度比5.7%の増収、5.2%の経常増益と3期連続で最高益を更新する見込みとなっている。収益の改善を反映して設備投資が拡大しており、GDP速報では6四半期連続で増加を続けており、景気の回復を牽引している(下図)。これまでは製造業を中心に設備投資が伸びてきたが、最近では非製造業にも広がりを見せつつある。

GDPと設備投資の推移

企業業績の回復は人件費や雇用の拡大にも波及している。04年からの雇用の改善は、医療・福祉業、サービス業が中心で、雇用者数の増加も女性に偏っていたが、90年代から続いてきた雇用のパート化の傾向も収束しつつあり、最近では正社員の採用も進んできた。05年夏の賞与では幅広い業種で前年を上回る水準となったが、年末の賞与も引き続き増加が見込まれている。日本経団連の集計(11月24日時点)では、前年と比べ4.4%の増加となっており、バブル崩壊後最大の伸びになる可能性が高く、05年度の雇用者報酬は5年ぶりにプラスとなる見込みである。実質GDP成長率は、05年度は前半の伸びが高かったこともあり民間調査機関22社の平均(11月末時点)では、実質2.6%(名目1.5%)まで伸びる見込みである。

回復が続く2006年

企業業績は翌年の賃金に反映されるため、06年も賃金の伸びが続くとみられる。このような所得・雇用環境の改善を反映して、個人消費は堅調な動きが続く見通しである。特に、液晶・プラズマテレビやDVDなどのデジタル家電に対する消費者の購入意欲は強く、デジタル放送が06年末までに全国主要都市で順次開始されることも追い風となり売り上げの増加が期待できる。また、団塊ジュニアが住宅取得年齢に達しつつあることから、住宅需要は中期的に伸びていくものとみられる。日本経済は内需中心の自律的回復の傾向が強まっており、息の長い着実な景気回復が続く見通しである。実質GDP成長率は、06年度も現在の成長が堅調に続き、民間22社の平均(同上)では実質1.9%(名目1.6%)まで伸びる見通しである。

2006年の物価と金融政策の見通し

06年の日本経済の大きなテーマとして、デフレの脱却がなされるかどうかということがある。そして、それに伴う金融政策の変更にも注目が集まっている。日銀の量的緩和の解除は、早ければ06年の春頃という見方が強いが、量的緩和解除の条件としている「消費者物価が安定的にゼロ%以上となること」は、もう少し時間がかかる見通しである。

最近の物価動向は、素材価格の上昇により国内企業物価は上昇を続けているが、消費者物価は小幅な下落が続いており、緩やかなデフレ状況にある。消費者物価の06年の見通しは、1月に電気・ガス料金が値上げされることなどから下落圧力が弱まり、消費者物価がプラスに転じる局面がくるであろう(下図)。しかし、4月には電気料金や診療報酬などの引き下げが予定されており、移動体通信の新規参入による競争激化も予想されている。そのため、消費者物価の上昇圧力は抑制され、しばらくは横ばいで推移する可能性が高く、デフレ脱却は06年中には達成されない見通しである。

消費者物価指数の推移