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レポート

2006年の世界政治・経済

国際情報部
2005年12月27日掲載

II.2006年の注目点
3.日本経済の復活
持続的な景気回復の達成

日本は、バブル崩壊後極めて厳しい経済状況に陥り大きな痛みを伴ってきたが、民間企業の経営努力などにより、ようやく本格的な復活を遂げるに至った。2002年2月から続く現在の回復局面は、バブル崩壊以来3回目のものであるが(下図)、その特徴は、単なる景気循環による回復というだけではなく、内需において持続性のある理想的な経済発展経路に入っているということである。このことが、過去2回の景気回復と決定的に異なっている点である。

日本の景気変動(生産指数の推移)

今回の回復は、デジタル家電を中心とするIT関連製品の回復や中国を中心としたアジア市況の上昇による素材・機械などの輸出増加により、比較的堅調に推移してきたが、03年初頭には、イラク戦争、SARSの影響と金融不安により停滞を迎えた。その後、再び回復を続けるものの、04年夏頃からはオリンピック特需の剥落などによるIT関連製品の在庫調整などにより再び足踏みをすることになった。しかし、それでも景気は後退することなく05年の夏頃から再び緩やかな回復を続けている。このような持続的な回復の達成には、日本経済が構造的に抱えていた問題を克服してきたことが大きく影響している。

持続的回復の主因は、3つの過剰の解消

企業は、1990年代前半から雇用、設備、債務の過剰感に悩まされ、これが日本経済の構造問題として景気の回復力を弱める原因となってきた。この3つの過剰を企業が解消したことにより、回復力に持続性がもたらされた。雇用は新規採用の抑制や雇用のパート化などが進められ、設備は新規投資の抑制や遊休・老朽設備の廃棄がなされてきた。債務についても利益のかなりの部分が負債の返済に充てられ、資産の処分も進められた。その結果、05年に入ると3つの過剰はほぼ解消されるようになった。

雇用と設備の過剰感
債務の過剰感と損益分岐点比率

金融環境については、03年5月、りそな銀行への公的資金の注入が決定されたことを転機に金融不安が払拭され、困難は伴ったものの不良債権処理も加速され、2002年3月期に8.7%あった主要行の不良債権比率も05年3月期には2.9%まで低下した(下図)。銀行の財務体質も健全化され、貸出態度の改善が進んでいる。

日経平均株価と不良債権比率
構造改革により日本への信頼が回復

日本のもう一つの構造問題として、政府の財政悪化が挙げられる。バブル崩壊後、政府は財政出動を繰り返し実施し、税収も景気低迷により減少した。その結果、巨額な財政赤字と長期債務を抱えることになり、海外からの信頼も著しく低下した。そのため、01年に発足した小泉政権では、2010年代初頭に国と地方の基礎的財政収支を黒字化することを目指し、財政構造改革を進めた。公共投資の大幅な削減を行うとともに財政支出の内容が見直され、生産効果が大きい社会資本などに重点的に予算がシフトされた。道路公団や郵政公社の民営化などの官から民への改革も断行され、税源移譲、国庫補助・交付税の縮減を行うことにより、必要な行政サービスを地方の責任で効率的に実施する三位一体の改革も進められている。構造改革特区と呼ばれる特定地域での規制緩和も行われてきた。このように、小さくて効率的な政府の実現に向けた取り組みを進めてきた結果、基礎的財政収支の改善や民間活力の活性化への期待が高まり、日本の国際的な信頼は回復してきた。

日本経済は復活

3つの過剰の解消により企業収益は大きく改善した。それに伴い設備投資が伸びており、最近では製造業から非製造業にも拡大している。また、新分野への積極的な投資も一部で見られるようになってきており、今後の展開が期待される。正社員の採用も活発化してきており、06年春の新卒採用は大幅に増加する見込みである。好調な企業業績や政府の構造改革の進展が評価され、海外からの投資が増えており、株価も03年4月の最安値の倍の1万5,000円台まで回復してきた。企業の損益分岐点比率については、バブル崩壊後最低水準にまで低下した。損益分岐点比率の低下は、景気変動や業界情勢の変化に伴う売上高の増減やデフレによる販売価格の下落などがあっても利益を出せるように経営体質が強化されてきたことを意味する。このように経済のファンダメンタルズは90年代と比べ格段に強化されている。