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企業は中国リスクとどう向き合うか

島戸治江 海外情報室研究員
毎日新聞社『週刊エコノミスト』2005年10月4日号より転載

海外直接投資(FDI)の対象国として、中国の人気は依然として高い。国連貿易開発会議(UNCTAD)が今年9月に発表した調査結果では、来年にかけて最も有望な直接投資先として多国籍企業(325社)の87%、FDI専門家(75人)の85%が中国を挙げた。

日本企業の対中直接投資は2000年以降、急速に拡大。その多くは輸出向け生産拠点のシフトであり、中国の「世界の工場」としての成長を支えてきた。しかし、すでに中国への進出を果たし、資金回収時期に差し掛かっている日本企業の中国に対する視線は変わりつつある。

まず、中国のコスト競争力の低下に対する懸念。労働力不足と賃金上昇の問題が顕在化し、安くて豊富な労働力という中国の優位性が損なわれている。人民元切り上げや電力供給不安など、生産拠点としてのマイナス要因も生じている。

次に、中国への経営資源の一極集中を「チャイナリスク」として捉える見方である。中国に進出した企業は、03年に発生した新型肺炎(SARS)をきっかけに、このリスクを認識した。今年に入り、反日デモにより生産や原材料調達に影響が及んだことからリスクを軽減する方法を具体的に検討する段階に入った。

こうした中、生産拠点を中国にシフトした企業の対応策として、次の三つが考えられる。

第一に、中国における生産の効率化。日本国内の工場と同等以上の高効率ラインの導入、コスト削減といった企業努力が必要である。

第二に、「チャイナ・プラスワン」戦略。経営資源を中国へ集中投下するのではなく、第三国にも分散投資する。すでに、家電や電子部品などでは、「チャイナリスク」を意識し、ベトナムにも輸出向け生産拠点を設ける事例がみられる。かつてASEAN(東南アジア諸国連合)の拠点を閉鎖し中国に移転した企業が、再びASEANに進出するケースもある。

第三に、日本国内の生産への回帰。すでに一部製造業では、汎用品を中国で生産し、高付加価値製品を日本で生産するという分業体制が構築されている。

部品産業の集積、潜在的な国内市場の大きさといった、中国の投資先としての魅力は依然として高い。日本企業は、軸足を中国に置きつつ、限りある経営資源を効率的に配分していくことを主眼に、今後の事業戦略を考えていくことになろう。